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特に医学と薬学領域には、画期的な研究の変革がもたらされることが予見されます。
4千を越える遺伝病、10万に達する遺伝子、人類出現以前から受け継がれてきた遺伝子系の基本構造。
これらの全体像を取り込んだデータベースと、その情報を駆使する新しい情報科学としての生物学が姿を見せてくるのです。
ゲノム解析から得られる多様な遺伝情報が書き込まれたソースブックは、出来上がるのを待つまでもなく時々刻々、新しい科学技術の原動力として働き続けるに違いありません。
1970年代に、遺伝に関わる現象がすべてDNAとして研究できるようになり、大いなる変貌を遂げた生物学は、ゲノム研究を契機として国際協力と競争を巻き起こしつつ、さらに21世紀に向けて飛躍を続けるのです。
しかし、このような明るい夢だけを見ているわけにはいかない。
『ヒトゲノム』のなかでも、社会との接点における問題として次のような内容に触れている。
このプロジェクトの進展によって出てくる課題であろう。
「ゲノム研究の進展と共に、その成果の利用が社会的に問題となる場合がいろいろと予測されます。
『研究の中間段階で不治の病の診断だけができるようになったが、治療法はまだ確立しない時』にはどうすれば良いのか、将来個人情報がどんどん得られるようになったとき、どのような注意が必要か、ヒトの遺伝子は特許の対象となるか、などはその一部です。
『すぐに役に立つ成果』あるいは『科学にとって重要な成果』を期待するほかに、本研究班はこうした問題を研究する組織を作り、予算の一部をあてています」。
他にも問題点は少なくない。
たとえば、世界的なプロジェクトとして各国のヒトゲノム解析センター(日本は東京大学医科学研究所にある)同士の連絡はあるものの、各国の研究上の関心などから分業体制がとられているとはいえず、ムダな競争関係が存在すること。
また研究開始直後に、アメリカのリーダーだったJ氏が日本とドイツを名指しして、「応分の貢献をしないとゲノムデータヘのアクセスを制限する」と釘を刺したように、アメリカ主導プロジェクトへの予算支出をはじめ、その成果を利用する際の制約や利害の対立が生じるのではないかと懸念する声も一部にある。
いずれにしても、全体では何兆円という研究だけに、遺伝子関係の研究者だけでなく、われわれも注視を続ける必要のあるプロジェクトである。
このS裁判のなかで、彼自身による犯行であることを明らかにしようとして、「DNA鑑定」と呼ばれる犯罪捜査の手法が登場している。
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